「絵のこと、土とつちたま」
私の絵は自分のいのちの物語です。日常の全てがモチーフとなりうる絵画で、日常の出来事が色や形に変化し、絵の中に取り込まれていきます。その空間を眺めていると、また次の線や色が見えてきて、描き進めます。
「つちたま」とは私の造語で「球根」であり「いのち」のことです。この「いのち」は、子どもの姿や犬や猫の姿をして絵の中に登場しています。そして、元々絵を深めるきっかけとなったのが球根観察だったので、どうしても「土」のことを思います。
土は太陽の光や雨風、どこかから飛んできた種子や虫の死骸や糞、草木の枯れたものといった多くのものが積み重なり関係し合って豊かな土壌となります。
人間には心があって、生きることの喜びや悲しみといった感情がありますが、それらを分解し取り込むことで、生と死を受けとめた豊かな土のような絵画を生み出せたらと思っています。
樋口愛